2022 年 30 巻 p. 34-39
本研究では,加圧噴出試験によって粉体の流動性と付着性に及ぼす粒子特性の影響を調査した.実験では,粒子径と円形度が異なる5 μmと16 μmのシリカ粒子および8 μmの珪砂を用いた.付着性はボンド数(分離力(付着力)と重力の比を表す無次元量)で評価し,流動性は単位時間当たりの粉体噴出量と粉体噴出時の圧力の関係から評価した.さらに,加圧噴出試験の結果をパウダテスタおよびパウダーレオメーターの測定結果と比較した.その結果,粒子径が小さいシリカにおいて付着性が高く,流動性が悪い傾向が確認された.また,円形度の低い珪砂は付着性が増加し,流動性も悪くなることが分かった.これらの結果から,粒子径や円形度などの粒子物性が粉体の付着性や流動性に影響を与えることが明らかとなった.加えて,加圧噴出試験の結果と既存の評価試験の結果で同様の傾向が得られた.このことから,加圧噴出試験は粉体の付着性と流動性の評価法の一つとして適用できると考えられる.