現代社会では,オンラインでの対人交流の普及に伴い,スキンケア・ヘアケアへのニーズが増大している。一方で,加齢に伴う肌の乾燥やシワの形成,毛髪の減少といった悩みは依然として多く,より効果を実感できる製品の開発が求められている。そこで,当社独自の乳酸・グリコール酸共重合体ナノ粒子(PLGA NP)技術を用いて,これらの課題に特化した機能性原料を開発した。皮膚のバリア機能向上,シワの軽減,育毛促進に対応する機能性成分をそれぞれPLGA NPに封入し,その効果を細胞試験およびモニター試験により評価した。結果,これらの機能性原料には細胞増殖促進作用があることが明らかになった。さらに,皮膚の水分量増加,シワの減少,毛乳頭細胞の育毛関連遺伝子の発現促進効果が確認された。これらの知見は,当該機能性原料の優れた特性(浸透性・細胞内移行性・持続性)が,機能性成分の対象部位への効率的な送達と徐放を可能にしたことで,高い美容効果をもたらしたことを示唆している。
成分を届け、留める──スキンケア・ヘアケア製品の効果実感を左右するこの課題に対し、本研究では独自のPLGAナノ粒子技術による解決策を提示しています。機能性成分のポテンシャルを最大限に引き出すべく、効率的な送達と徐放に特化した機能性原料の開発に成功。本稿は、その詳細な効果検証を通じて、高まる美容ニーズへの貢献可能性を示す内容となっています。
粉体は,最終製品としてだけでなく,様々な工業製品の製造プロセスにおいても広く利用されている。粉体は固体粒子の集まりであり,その分散状態や造粒構造などの構造制御は,各種材料開発および製造に欠かせない技術である。近年では高性能分級機の導入により,乾式粉砕でもより微細な粒子を得ることが可能となり,乾式複合処理は電池材料の改良や医薬品の溶解速度制御などに応用され,省エネルギーかつ環境に優しい手法として注目されている。本稿では,粒子・粉体構造制御の一例として,当社装置を用いた乾式操作による微細化・複合化の処理事例を紹介する。
本論文は、省エネルギーかつ環境負荷の低い乾式処理技術による粒子構造制御の最新事例を紹介している。高性能分級機を組み合わせた粉砕技術により、サブミクロン領域の微粒子生成が可能となり、乾式複合化処理は電池材料の性能向上や医薬品の溶出制御に有効であることが実証されている。バインダ不要で乾燥工程も省略できる乾式処理は、自動車用電池材料や難溶性医薬品の需要増加に伴い、さらなる適用拡大が期待される。製造プロセス全体の効率化に貢献する重要な先端技術である。
リグニンは,パルプやバイオエタノール製造過程で副生されるバイオマス資源であり,従来は主に熱源として利用されてきたが,カーボンニュートラル社会の実現に向けて,機能性材料としての活用が期待されている。応用には粒子径制御やハンドリング技術が不可欠であり,微粉砕や乾式造粒といった粉体プロセスが重要な役割を果たす。ジェットミルやACMパルベライザ®による粉砕技術により,エネルギー効率を考慮しつつ,目的に応じたリグニン粉体を得ることができる。また,造粒機ARC-MSによる乾式造粒技術により,流動性・保管性・安全性に優れたリグニン顆粒やブリケットの製造が可能である。本稿では,リグニンの有効利用に不可欠な粉体技術とその応用事例を紹介する。
本稿は、パルプ産業やバイオエタノール製造で副生するリグニンに着目し、その高度利用を支える粉体プロセス技術を体系的に解説しています。微粉砕や乾式造粒の原理、装置選定、エネルギー特性まで踏み込んで紹介しており、環境負荷低減と安全・効率的な取り扱いの両立が具体的に示されています。カーボンニュートラル社会の実現に向けた粉体技術の重要性を実感できる内容です。
粉体技術は現代の工業製品において極めて重要であり,特に電子写真技術ではトナー粒子の帯電特性が印刷品質に決定的な影響を与える。従来のファラデーゲージ法は試料全体の平均帯電量のみを測定するため,個々の粒子の帯電量分布や粒子径との相関関係を把握できない制約があった。これらの課題を解決するために開発されたのが,粒子径・帯電量分布測定装置「イースパートアナライザ®」(EST)である。ESTは,2本のレーザービームが交差する検知領域において,レーザードップラー法により個々の粒子の運動を精密に測定する。この測定原理により,従来のバルク測定では得ることのできない,個々の粒子レベルでの帯電特性情報を測定することが可能である。本稿では,ESTの測定原理詳細および測定例を紹介する。
粉体の帯電特性は製品品質に影響するが、従来のファラデーゲージ法では試料全体の平均値のみを測定し、個々の粒子の帯電量分布や粒子径との相関を把握できない。本稿では、粒子径と帯電量を同時測定できる世界唯一の装置「イースパートアナライザ®」を紹介。30年以上の実績を持ち、小型化・デジタル化した次世代機の開発が進められており、精密な粉体評価技術として期待される。
乾燥とは,熱を加えて目的のものから湿分を除去する操作である。乾燥機はそれを行う機械であるが,乾燥方式は多種多様であり,万能な乾燥機は存在しない。本報では,乾燥機を直接加熱型と間接加熱型,連続式とバッチ式に分類し,どのような原料にどのような乾燥機が適しているかをまとめた。具体的な乾燥機例として,連続式直接加熱型乾燥機ドライマイスタ®H型(DMR-H型),バッチ式間接加熱型乾燥機ナウタミキサ®,連続式(バッチ式にも対応可能)間接加熱型乾燥機トーラスディスク,および連続式間接加熱型ソリッドエアー®を取り上げ,それぞれの構造,システムフロー,適合原料例とともに紹介する。
乾燥の原理を説明するとともに、乾燥機を直接加熱型と間接加熱型、連続式とバッチ式に分類し、わかりやすく解説されています。また原料性状から見た場合の装置適性についても言及されており、乾燥方式の異なるホソカワミクロン社の代表的な乾燥機「ドライマイスタ」、「ナウタミキサ」、「トーラスディスク」、「ソリッドエアー」のそれぞれについて、特徴や適した原料性状についてまとめられています。
二次電池導電剤としてのカーボンの材料設計
公開日: 2018/10/03 | 55 巻 p. 58-62
和田 徹也
硫化物ガラス系電解質を用いた全固体電池の開発と今後の展望
公開日: 2018/10/03 | 57 巻 p. 3-10
辰巳砂 昌弘
リチウム電池の電極特性と構造
公開日: 2018/10/03 | 53 巻 p. 21-24
右京 良雄
分析評価事業
公開日: 2018/10/03 | 58 巻 p. 94-95
ホソカワミクロン株式会社 大阪テストセンター室
スラリー特性制御によるセラミックスの構造制御と高機能化
公開日: 2018/10/03 | 54 巻 p. 47-51
中村 一郎
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