口腔の健康と全身の健康が密接に関係していることが報告されていることから,歯の健康管理は全身の健康管理の一環となっている。しかしながら,高齢化が進む国内では,歯周病の患者数が増加している状況にある。歯周病には,歯周組織に形成される口腔バイオフィルムが深く関与していることが広く認識されている。歯周病予防には口腔バイオフィルムの形成および再形成を防ぐことが重要であり,バイオフィルムの薬剤抵抗性や再形成の機構を踏まえた有用性の高い素材の開発が求められる。そこでバイオフィルムへの高い浸透性を有し,歯周病予防に効果的なイソプロピルメチルフェノール(IPMP)封入ポリ乳酸・グリコール酸(PLGA)ナノ粒子(NP)の開発を行った。IPMP封入PLGA NPを用いた臨床試験において,口腔内の菌数の減少,歯周組織の潜血の減少,口臭の改善が認められた。以上の結果から,IPMP封入PLGA NPはバイオフィルムの形成抑制に有効であると考えられる。
本研究は、PLGAナノ粒子を用いた歯周病予防の有効性を示唆しています。IPMP搭載PLGAナノ粒子はバイオフィルム抑制効果を持ち、臨床試験の結果、細菌数の減少、歯肉出血の軽減、口臭の改善が確認されました。この安全性が高く低刺激なアプローチは、歯磨き粉やマウスウォッシュといった日常的な歯科ケア製品への応用が期待されています。作用機序の解明や量産技術の確立に向けたさらなる研究が求められます。
様々な工業製品には粉体技術が大きくかかわっている。製品の高機能化が進む中,製造プロセスにおいてより高度な粉体技術が用いられるようになり,それに伴い粉体の評価技術にも進化が求められている。粒子の形状評価や,ごく少量含まれる粗大粒子の評価には,画像解析法による粒子径測定が有効である。本稿では,動的画像解析装置「パーシェアナライザ®」の特徴を,実際の粉体測定例と共に紹介する。また粒子径分布と帯電量分布を測定する「イースパート アナライザ®」の原理と測定例についても説明する。
粉体技術の高度化に伴い、より精密な粒子特性評価が求められている。本稿では、ホソカワミクロン社の動的画像解析装置「パーシェアナライザ®」と粒子径・帯電量測定装置「イースパート アナライザ®」を紹介。これらの装置は、粒子形状や帯電特性の詳細な分析を可能にし、先端的な粉体技術開発を支援する新たな評価ツールとして期待される。
現代社会は急速にデジタル化が進展しており,製造業界にもIoTプラットフォームの提供が広がりつつある。その中でも,デジタルツイン技術への関心が高まっているが,この技術には高度な計算能力が要求されるため,多くの技術的課題が存在する。特に粉体分野においては,粒子の複雑な挙動を正確に考慮する必要があり,その実現は困難とされている。こうした課題を克服するため,粉体の挙動を数値的に評価する実質業界標準である粉体物性測定装置「パウダテスタ®」の安息角やかさ密度などの測定に焦点を当て,粉体分野におけるデジタルツインの基礎となるシミュレーションモデルの開発を株式会社DENSEと共同で進めてきた。結果,一般的に膨大な解析コストを要する粉体のシミュレーションにおいて,不定形粒子を対象に粗視化モデルを適用することで,実用的な時間内での解析を可能とした。このシミュレーションモデルの内容とその検証結果について報告する。
近年、粉体の粉砕・分級・混合・乾燥・造粒・測定などの操作を行う機械の開発は成熟期を迎え、新製品の創出に苦労する状況が続いています。その中で、従来の開発手法とは異なるIoTやAI技術を組み合わせたデジタルツイン技術を活用した新たな製品開発への取り組みが進んでおり、本報告ではその一例として「パウダテスタ®」が紹介されています。
ソリッドエアー®は,ジャケットによる加熱と高速で回転するパドルでの撹拌によって熱を伝達し,原料を短時間で効率よく乾燥できる間接加熱型乾燥機である。その特徴の一つである高速回転翼をさらに増速させた場合の乾燥能力への影響を試験した。結果として,回転速度(撹拌翼の周速)は乾燥能力向上に効果があり,付着も低減可能であることが判明した。次世代の乾燥機のヒントとなるデータの一つとしてここに紹介する。
当社が代表する間接加熱法による乾燥機「ソリッドエアー」は、これまで様々な原料の乾燥に貢献してきました。しかし、その実績に甘んじることなく、次世代型間接乾燥機の開発に向けて、研究開発チームが地道に仮説モデルの構築や実施試験を重ねる様子には、真摯な努力と革新への情熱が感じられます。
混合技術は長い歴史を持つ分野であり,混合装置の基本的な設計思想は50年以上前に開発されたものが多い。ナウタミキサ®も歴史が古く,1940年代にオランダで開発され,これまで世界中で2万台以上の納入実績を持つ粉体混合機である。本稿では,ナウタミキサの歴史,混合機としての位置付け,混合モデル,設計思想,および型式ラインナップと比較的新しいVN型の特徴をまとめる。またトピックスとして,低床型ナウタミキサの納入事例と混合時間の推定に関する研究を紹介する。
バッチ式混合機として代表的な「ナウタミキサ®」の基本的な混合メカニズムや設計思想について説明されており、改めてその原理や性能を理解することができます。また、従来、建屋高さに制限があったため設置が難しかった建屋向けの低床型ナウタミキサ®も紹介されています。
メカノケミカル法の可能性~ナノ粒子設計と資源の高付加価値化~
公開日: 2018/10/03 | 51 巻 p. 24-29
齋藤 文良
電池の開発と製造技術向上のための粉体プロセス新展開―リチウムイオン二次電池の高機能化に向けた粒子設計加工技術―
公開日: 2018/10/03 | 55 巻 p. 38-47
横山 豊和, 井上 義之
二次電池導電剤としてのカーボンの材料設計
公開日: 2018/10/03 | 55 巻 p. 58-62
和田 徹也
スラリー特性制御によるセラミックスの構造制御と高機能化
公開日: 2018/10/03 | 54 巻 p. 47-51
中村 一郎
低温度かつ高速度乾燥プロセスの基礎と応用-減圧過熱水蒸気流動層乾燥-
公開日: 2018/10/03 | 58 巻 p. 44-50
立元 雄治
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