錠剤など固形製剤生産において,晶析と造粒を同一系内で同時に行う球形晶析法は,医薬品生産プロセスにおけるダウンストリームを融合できるため,医薬品製造の高効率化が可能となる.一方で,晶析後のろ過・乾燥・製剤化などのプロセス強化が課題であった.この課題を解決するため,我々はろ過・乾燥機能に加え粉体加工操作をハイブリッド化したワンポット型加工装置を開発した.卓上サイズの本装置は,ろ過・乾燥・粉体混合・湿式造粒の全工程を一括処理できる高機能回転式球体チャンバーを有する.本研究では,球形晶析法により調製したフェノフィブラート顆粒の懸濁液が,ワンポット型粉体加工装置により処理できることを確認した.また,本装置内のスプレーノズルからバインダーを噴霧することで,アセトアミノフェン粉砕品の湿式造粒が可能であることを明らかにした.
医薬品の個別化製造を将来的に達成するには、製造工程を可能な限り高効率化する必要がある。我々はろ過・乾燥機能に加え粉体加工操作をハイブリッド化したワンポット型加工装置を開発した.卓上サイズの本装置は,ろ過・乾燥・粉体混合・湿式造粒の全工程を一括処理できる.
離散要素法(DEM)では,オリジナル粒子より剛性を低減させたモデル粒子を使用することで時間刻みを大きくとり,シミュレーションにかかる計算コストを下げることが一般的である.また,付着性粒子のシミュレーションにおいては,接触時間の増加に伴う過剰なエネルギー消散を防ぐため,粒子剛性の低減に合わせて付着力をスケーリングする手法が近年提案されている.この手法は粉体がバルク体として流動化している動的な系に対しては非常に有効であるが,接触中における瞬時の力の釣り合いが崩れることから,凝集や付着といった相対的静止状態を模擬することが難しい.本研究では,剛性を低減したモデル粒子に対して,付着力の代わりに粘性減衰係数をスケーリングする手法を提案した.また,提案手法を回転ドラムのシミュレーションへと適用し,壁面への粒子の付着といった静的な状態と動的安息角といった粉体バルク挙動を同時に模擬可能であることを確認した.
離散要素法(DEM)では,剛性を低減させたモデル粒子を用いてオリジナル粒子のバルク挙動を模擬する方法がしばしば用いられる.本方法を付着性粒子のシミュレーションに適用する場合には,剛性低減による接触時間の増加に伴う過剰なエネルギー散逸を防ぐ必要がある.この記事では,粒子剛性低減率に合わせて粘性減衰係数をスケーリングすることで,粒子の静的状態と動的な挙動を同時に模擬可能であることを報告している.
光と粉体の相互作用は,粒子径分布の計測や,光散乱現象,レーザーアブレーションによる粉体合成など,幅広い対象において重要な研究課題である.特に近年進展がみられるナノ粒子の分野では,製造法としてだけでなく,粒子のハンドリング法としての光の利用が注目されている.本研究では,これらのレーザーと粉体の相互作用のうち,特にナノ粒子凝集体の分散と光散乱現象(表面増強ラマン散乱)に着目し,その基礎現象の解明に取り組んだ.表面増強ラマン散乱は,逆に粒子の凝集状態(ナノ粒子間のコンタクト)の制御が特異な光散乱現象において重要となる.そこで,濃度を調整した銀ナノ粒子懸濁液の噴霧乾燥により得られるエアロゾルを静電分級装置により分級して凝集状態を制御した.得られる凝集体を基板上に沈着(積層)させ,表面増強ラマン特性を評価したところ,粒子間の結合が極めて高いラマン散乱増幅効果を発現することを明らかとなった.
表面増強ラマン散乱(SERS)は,単一分子レベルの超高感度検出が実現可能な手法として、分析化学やバイオ、ナノテクノロジーなど、様々な分野での応用が検討されている。本研究では、SERS効果の発現に重要となる、貴金属ナノ粒子の凝集状態の制御をエアロゾル手法によって実現し、凝集粒子を構成する一次粒子間の結合が極めて高いラマン散乱増幅効果を発現することを明らかにした。
本研究は,多孔質膜を湿式プロセスで成膜する場合に,プロセスの条件と乾燥後の多孔質膜の性能の関係に関する知見を得ることを目的に実施した.比表面積が異なる二種類のカーボンブラック(XC-72rおよびLi-100)を用いて多孔質膜を作製した.プロセスの条件として,カーボンブラックを分散させるための超音波攪拌時間およびウェット膜を乾燥させるための加熱温度を変更させた.得られた多孔質膜に対して,膜厚,透過率および表面粗さに基づき多孔質構造の評価を試みた.透過率はLi-100の膜では膜厚とともに増加したのに対して,XC-72rの膜ではほぼ一定となった.表面粗さは膜厚に対して明瞭な傾向は確認できなかったものの,分散質の粒径分布がbi-modalなスラリーから成膜した膜ではカーボンブラックの種類によらず大きくなった.これらの膜厚に対する透過率および表面粗さの傾向は,カーボンブラックの形状およびスラリー中の粒径分布から説明可能であることを示した.
燃料電池の触媒層を想定してカーボンブラック (CB) およびアイオノマーを用いた多孔質膜の性能の制御を検討した.CB およびアイオノマーを分散させたスラリーをドクターブレードで基板上に塗布したのち,基板側から加熱することで多孔質膜を得た.比表面積が異なる CB から得た膜の透過率を測定したところ,透過率は CB の比表面積が大きな場合には膜厚に対して一定であったのに対して,比表面積が小さい場合には膜厚と共に増加した.
粉体プロセスにおける粒子の付着・堆積は,製品の品質および生産性の低下を招く原因となる.本研究では,流体や機械的外力を用いずに,粒子の帯電と運動を同時に制御して堆積粒子を除去する手法を確立するため,絶縁板に堆積させた誘電性粒子を上向きの静電場と紫外線照射によって帯電・浮揚させる実験を行った.紫外線が照射された最上層の粒子は,光電子放出によって正に帯電し,クーロン力によって浮揚した.浮揚粒子のフラックスと運動および各浮揚粒子の帯電量を求めた結果,粒子層と浮揚粒子から放出された光電子が光電子雲を形成し,粒子の帯電量を変化させるため,浮揚粒子の約40%が浮揚直後に降下することが分かった.さらに,紫外線照射後に上向きの電場を印加すると,光電子雲は形成されず,全ての粒子が途中で降下せずに浮揚した.また,粒子の帯電量増加によって,より多くの粒子が浮揚したが,継続的な浮揚はみられなかった.
電場と紫外線の利用により、機械的外力や流体力を用いずに、粒子の帯電と運動を同時に制御して堆積粒子を除去することができる。この記事では、絶縁板に堆積させた誘電性粒子を上向きの静電場と紫外線照射によって帯電・ 浮揚させる方法を提案し、紫外線照射によって粒子から放出される光電子が浮揚粒子のフラックスと運動に与える影響について説明している。
非球形分子イオンの気相中におけるダイナミクス
公開日: 2020/05/25 | 27 巻 p. 161-164
玉舘 知也, 瀬戸 章文
脂質ナノ粒子の形成と形成メカニズムの解明
公開日: 2017/06/10 | 24 巻 p. 74-78
渡慶次 学
マルチマテリアル接合を目指した微粒子構造体の創製
公開日: 2021/05/25 | 28 巻 p. 82-87
藤本 啓二
全固体リチウムイオン電池のSi系負極に関する研究
公開日: 2021/05/25 | 28 巻 p. 130-134
奥野 亮太, 高橋 雅也
紫外線と静電場を用いた粒子の帯電量操作と運動制御
公開日: 2022/05/25 | 29 巻 p. 36-40
庄山 瑞季
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