抄録
長野県の在来種を含むカブ・ツケナ42品種について形態調査を行った.43調査項目をもとにしたクラスター分析から,7グループに分別され,長野県在来の13品種は,このうちの5グループの中に含まれた.主成分分析においてもクラスター分析とほぼ同様な結果となった.
二つの分析結果から,長野県在来品種は以下の五つのグループに分類された.
グループ1:‘源助蕪奈’,‘野沢菜’,‘諏訪紅蕪’,‘木曽菜’,‘稲核菜’,‘吉野蕪’,‘羽広菜’
グループ2:‘開田蕪’,‘細島蕪’,‘王滝蕪’
グループ3:‘保平蕪’
グループ4:‘赤根’
グループ5:‘雪菜’
グループ1とグループ2の品種は,長野県に伝播してから著しく分化した品種群であり,グループ3,グループ4,グループ5の品種は,それぞれ近縁な品種が長野県以外の地域にみられ,長野県に伝播後は分化が進まなかったものと推察された.