抄録
中晩生カンキツ‘はれひめ’について,夏~収穫期までの水ストレスが果実品質に及ぼす影響を研究した.8月中旬~収穫期まで,葉内最大水ポテンシャルで−0.7~−1.2 MPaの水ストレスを付与した乾燥区は,付与していない湿潤区に比べ,収穫時の果汁内Brixは約3%高く,果実横径は1.3 mm小さくなった.特にBrixは,10月上旬までに2.9%の差がみられたことから,8~9月の水ストレスが果実内Brixの上昇に対して影響が大きいと思われる.収穫時の果実品質について,乾燥区は果実重で約1割低く,果皮色は紅色が濃くなった.果汁内の糖は,処理区間で成分比に変化はなかったが,全糖量は乾燥区が湿潤区に比べ約1.6倍であった.果汁内の有機酸については,乾燥区のクエン酸は湿潤区に比べ約1.3倍であったが,リンゴ酸は約0.7倍であった.果汁内のアミノ酸は,乾燥区が湿潤区に比べ9種類のアミノ酸で濃度が高く,アスパラギン酸は約3倍,グルタミン酸は約2.1倍となった.全アミノ酸含量は,乾燥区が湿潤区に比べ約1.7倍であった.以上のことから,夏以降の水ストレスにより果実はやや小玉になるが,果汁成分は濃厚となり,商品性の高い果実が生産できると考えられる.