園芸学研究
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栽培管理・作型
密植・盛土式根圏制御栽培によるニホンナシ‘幸水’の早期多収
大谷 義夫八巻 良和
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2011 年 10 巻 2 号 p. 233-240

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抄録

ニホンナシ‘幸水’の盛土式根圏制御栽培(培土量150 L)におけるY字仕立て密植栽培(Y字根圏区)が,樹体生育,収量および果実品質に及ぼす影響を,地植Y字仕立て(Y字地植区)および慣行の平棚地植栽培4本主枝仕立て(平棚地植区)と比較検討した.Y字根圏区の10 a換算収量は,植付け2年目から‘幸水’で1.8 tとなり,平棚地植区,Y字地植区より早期多収であった.収量はその後も着果数の増加とともに増加し,植付け5年目が6.1 t,5年間の累積収量は15.1 tと,平棚地植区の8.5倍と極めて多収となった.品質においては,果重が大きく果実糖度も高く推移した.樹体生育をみると,Y字根圏区は2年目から花芽着生が良好な側枝が多く確保され,葉数の増加も大きく,植付け3年目にはLAIが3を上回った.このように,Y字根圏区で早期多収が可能となった要因は,根域制限により樹体がコンパクトになり密植が可能なこと,樹体の吸水量にあった灌水管理により花芽数の多い側枝が多く確保できること,Y字仕立てにより棚面積の拡大が図られ早期の葉数増加が多くなることがあげられる.

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