抄録
イチジク(Ficus carica L.‘桝井ドーフィン’)の主枝高が凍害の発生と生育,収量および果実品質に及ぼす影響について検討するため,主枝高が1.8 mで結果枝を水平に誘引した一文字整枝樹を供試し,主枝高0.6 mで結果枝を垂直に誘引した従来の一文字整枝樹と比較した.その結果,従来の主枝高0.6 mの一文字整枝樹は,凍害によって2年連続で地上部が枯死したが,主枝高を1.8 mとした区では,凍害による枯死樹は発生しなかった.また,凍害発生前の比較では,収量は少ないが果実品質は良好であった.主枝高が高い場合,早朝の冷え込みが緩和されるとともに,日中の日射による樹体温の温度上昇も少ないことが,枯死樹が発生しない要因として示唆された.