抄録
絶滅危惧植物の代表とされるレブンアツモリソウを無菌発芽法および共生発芽法によって人工的に増殖して鉢上げし,得られた栽培株の生育と開花・結実に至るまでの生育状況を観察した.無菌発芽株は共生発芽株に比べて鉢上げから4年目までの生存率が低く,鉢上げ後の生体重増加が緩慢であった.また,無菌発芽株では共生発芽株に比べて開花率も低かった.開花能力に関連する生育指標を調べたところ,レブンアツモリソウは,一定の大きさ(生体重10 g前後)になると開花能力を有するようになり,そのような株ではシュート当たりの葉の枚数3~4枚,最大葉長100~120 mm,シュート長120 mm以上といった生育特徴をもつことが明らかになった.このことから,レブンアツモリソウは,株の齢によって開花能力が決定されるのではなく,個体サイズに依存して開花が決定される「サイズ依存型」であることが判明した.培養苗由来の種子を用いてさらに株を増殖することも可能であり,礼文島自生地に全く依存しない自家採種によるレブンアツモリソウの完全人工増殖が可能となった.