園芸学研究
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育種・遺伝資源
無巻きひげ形質のスイートピー切り花品種の特性とその省力効果の作業時間および運動解析による評価
中村 薫布施 泰史八反田 憲生福元 孝一郡司 定雄明石 良
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キーワード: 腋芽, 巻きひげ, 誘引
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2015 年 14 巻 3 号 p. 211-220

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抄録
省力化を目指して育成した無巻きひげ形質を持つ切り花品種‘ムジカローズ’と‘ムジカパープル’を用いて,その特性を明らかにした.さらにそれらを用いて誘引作業に要する時間や作業特性を調査し,無巻きひげ形質の省力効果について検討した.無巻きひげ形質は巻きひげ形質に対して劣性であるため,いずれの品種とも無巻きひげ形質の品種に巻きひげ形質の品種を交配して育成した.F2世代で無巻きひげ形質の個体を選抜することで,F3世代に無巻きひげ形質を固定できることが確認できた.‘ムジカローズ’は花色が鮮紫ピンク(JHSチャート9204)で花径は大きい春咲き性の品種である.‘ムジカパープル’は花色が鮮赤味紫(JHSチャート8906)で花径が中の冬咲き性の品種であるが,春咲き性品種と同じく促成栽培では4週間の種子冷蔵期間で管理することができる.これら無巻きひげの2品種の摘除作業時間は巻きひげ形質の品種の半分以下であった.摘除作業の運動解析によって,無巻きひげ形質の品種は巻きひげ形質の品種に対し肘および手首の作業範囲が狭く,また,肘の相対移動距離が短く,作業者への負担が小さいことが示された.
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