園芸学研究
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栽培管理・作型
成熟後期でのアブシジン酸含有肥料処理によるブドウ ‘安芸クイーン’ および ‘ルビーロマン’ の着色特性の差異
片山(池上) 礼子高居 恵愛島田 稜松田 賢一坂本 知昭
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2017 年 16 巻 3 号 p. 317-324

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抄録

無核栽培における四倍体の赤色系ブドウ品種‘安芸クイーン’および‘ルビーロマン’に対する成熟後期(ベレゾーン25~40日後)でのABA含有肥料処理が着色と果実品質へ及ぼす影響を調査した.本処理がベレゾーン期処理の際に生じる深色化,糖度の低下を発生させずにアントシアニン蓄積を増加させたことから,成熟後期におけるABA含有肥料処理の着色促進効果の有効性が確認された.本処理による着色促進効果は‘ルビーロマン’と比べ‘安芸クイーン’でより顕著に現れた.アントシアニンの蓄積およびその生合成に関わる転写調節因子VlMybA1-2およびVlMybA1-3と生合成酵素UFGTの遺伝子発現パターンを経時的に調査したところ,品種間差異がみられた.すなわち,‘ルビーロマン’は,‘安芸クイーン’と比較してこれらの遺伝子発現が成熟後期において高く推移しておりアントシアニンをより蓄積しやすい品種であることが示唆された.

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