園芸学研究
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発育制御
プライミング種子への吸水種子湿潤低温処理がトルコギキョウ ‘レイナホワイト’ の生育および切り花形質に及ぼす影響
福島 啓吾梶原 真二石倉 聡後藤 丹十郎
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キーワード: 抽苔, 発蕾, 育苗, 開花, ロゼット
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2018 年 17 巻 1 号 p. 79-85

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抄録

本研究は,トルコギキョウ種子へのプライミングおよび種子低温処理が生育および切り花形質に及ぼす影響を明らかにしようとした.実験には‘レイナホワイト’のプライミング種子および無処理種子を用い,これらの種子をセル成型トレーに播種した後に10°Cの暗黒条件で0,1,3,5,7および9週間処理した.処理終了日の2012年8月8日から定植日の9月6日までなりゆきの温度条件(日最高気温は34.0~38.0°C,日最低気温は24.0~26.0°Cの範囲で推移)で育苗した.プライミング種子の発芽率は,種子低温処理5週において無処理種子と比較して高かった.プライミング種子の出芽率は,種子低温処理7および9週が0~5週と比較して同等か低かった.プライミング種子における定植時の苗の本葉2節葉身長は,無処理種子と比較して大きかった.定植から翌年3月31日まで栽培を行い,生育調査および切り花の形質調査を実施した.プライミング種子の抽苔率,発蕾率および開花率は,種子低温処理0および1週において無処理種子と比較して高く,1週以上で90%以上となった.プライミング種子に由来する苗の定植後の生育は,種子低温処理3,5,7および9週で差は見られなかったが,1週は同等かやや遅れた.プライミングに関わらず切り花形質は,種子低温処理3週以上で差がなかった.これらの結果から,トルコギキョウにおいてプライミング種子への種子低温処理は3~5週が適切であることが明らかになった.

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