園芸学研究
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育種・遺伝資源
スイートアリッサム園芸品種の花色と花色素
立澤 文見井手上 ひろ大谷 拓也加藤 久美子中條 しづ子加藤 一幾鴫原 淳
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2019 年 18 巻 2 号 p. 107-116

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抄録

スイートアリッサム(Lobularia maritima)の赤色花4品種,赤紫色花7品種,紫色花8品種,および,白色花1品種の合計20品種の花色と花弁に含まれるフラボノイド組成の関係を調査した.この結果,スイートアリッサムの花では初の報告となるペラルゴニジン3-[6-(トランス-p-クマロイル)-グルコシド]-5-グルコシド,ペラルゴニジン3-[6-(トランス-フェルロイル)-グルコシド]-5-グルコシド,ペラルゴニジン3-サンブビオシド-5-グルコシド,ペラルゴニジン3,5-ジグルコシド,および,ペラルゴニジン3-グルコシドが赤色品種から同定され,それらを含む21種類のアントシアニンを同定した.赤紫色品種では,Lobularia Deep Rose Anthocyanin 1~6 (Tatsuzawaら, 2010) とペラルゴニジン3-サンブビオシド-5-グルコシドが,そして,紫色品種では,Lobularia Violet Anthocyanin 1~9とシアニジン3-サンブビオシド-5-グルコシド(Tatsuzawaら, 2006, 2007)が主要アントシアニンであった.さらに,供試したすべての品種からケルセチンとケンフェロールの3-[2-(ラムノシル)-グルコシド]-7-ラムノシドと3-[2-(ラムノシル)-アラビノシド]-7-ラムノシドが同定され,スイートアリッサムの花では初の報告となるフラボノールであった.これらのフラボノールによる花色への影響は確認されなかった.スイートアリッサムの花色の青色化は,けい皮酸によるアシル化とアントシアニジンのB環の水酸基化が主な要因であることがわかった.

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© 2019 園芸学会
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