園芸学研究
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育種・遺伝資源
‘晩白柚’と四倍体の正逆交雑から得られた種子の重さと倍数性との関係
八幡 昌紀岡 信孝國武 久登山口 清二小松 春喜
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2003 年 2 巻 4 号 p. 247-252

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抄録
‘晩白柚’を用いた三倍体育種を効率的に進めるために,二倍体と四倍体間での正逆交雑から得られた種子の重さとその倍数性との関係を調査した.
‘晩白柚’に四倍体ユズまたは四倍体ナツダイダイを交雑したところ,完全種子出現率が対照区(放任受粉果)と比較してそれぞれ48.0%と8.4%まで減少した.それらの実生の倍数性を調査した結果,三倍体と四倍体が確認され,前者の組合せからは六倍体が1個体得られた.‘晩白柚’ × 四倍体ユズでは三倍体の発生率が高く(88.0%),‘晩白柚’ × 四倍体ナツダイダイでは低かった(30.2%).二倍体 × 四倍体の両組合せから得られた三倍体と四倍体の平均種子重は,三倍体が四倍体より有意に軽いことが明らかとなった.さらに,これらの組合せから得られた不完全種子を培養した結果,得られた実生はすべて三倍体であった.
一方,四倍体ユズおよび四倍体ナツダイダイに‘晩白柚’を交雑した結果,放任受粉果と比較して,それぞれの完全種子出現率には大きな差異は観察されなかったものの,種子重は有意に減少した.三倍体は,珠心胚由来と考えられる四倍体に混じって,それぞれの組合せで約50%の頻度で得られた.三倍体が発生した種子とそれ以外の種子の重さには有意な差異は観察されなかった.
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© 2003 園芸学会
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