園芸学研究
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育種・遺伝資源
中国で栽培されているニホングリ(Castanea crenata Sieb. et Zucc.)の来歴とRAPDマーカーによる分析
井上 栄一原 弘道阮 樹安佐野 真実月橋 輝男
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キーワード: 中国, 品種, ニホングリ, 来歴, RAPD
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2003 年 2 巻 4 号 p. 253-257

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抄録
中華人民共和国で生産されたニホングリはそのほとんどがおもに加工用としてわが国へ輸出されている.しかしながら,中国で育種および栽培されているニホングリ品種についてはほとんど報告されていない.本研究では,中国で育種,栽培されているニホングリ品種の来歴を報告するとともに,遺伝子マーカーを用いて中国で育種または栽培されている品種の識別を試み,その遺伝的背景について考察した.合計8種類のプライマーを用いてRAPD分析を行った結果,合計162種類の増幅断片が増幅された.これらのRAPDを用いることによってすべての品種を識別することが可能であった.日本から中国に導入されたとみられるニホングリ5品種のうち4品種は日本で保存されている同名品種と近かったが,実生による繁殖の可能性が示唆された.さらに‘森早生’では,日本で保存されている同名品種と系統樹上で同じグループに属していたものの類似度が顕著に低かった.このことから,‘森早生’が民間交流によって中国に伝播する過程で何らかの取り違いが生じたか実生で伝播した可能性が示唆された.一方,中国で偶発実生から育成されたニホングリ5品種はいずれも日本育成の古い品種に対して遺伝的な類似度が高かった.
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© 2003 園芸学会
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