2025 年 24 巻 3 号 p. 251-256
遮光,花房除去および摘心がトマト(Solanum lycopercicum L.)小葉基部の中肋組織からの不定芽の発生に及ぼす影響について検討した.トマト品種‘桃太郎’を50%遮光して栽培したところ,遮光しなかった場合と比較して中肋組織中の全糖,デンプン含量および全C含量が有意に高くなるとともに不定芽発生率が有意に高くなった.また,花房除去の有無および摘心の有無を組み合わせて栽培したところ,花房除去により中肋組織中の全糖およびデンプン含量が有意に高くなるとともに不定芽発生率が有意に高くなった.また摘心によりシュート長が5 cmに伸長した不定芽の数が摘心しなかった時と比較して有意に増加した.以上のことから光強度およびソース-シンクバランスを制御して中肋組織中の同化産物含量を高めることにより不定芽の発生率を向上できることならびに摘心により不定芽の伸長を促進できることが明らかとなった.