2004 年 3 巻 2 号 p. 215-219
比較的新しい中晩生カンキツ数品種を,乾燥予措を施して,あるいは施さずに,温度5 ± 1 ℃,相対湿度85 ± 4 %RHないし>98 %RHの条件で2~3か月間貯蔵し,内部品質や外観の変化を調査した.また,‘清見’を25 ℃に出庫した時の果皮障害防止法を検討した.
各品種とも,貯蔵により,糖度はわずかに上昇した.酸度は,‘今村温州’,‘はるみ’,‘せとか’,‘はれやか’では大幅に低下し,‘不知火’では若干低下した.‘清見’の酸度は低下しなかった.‘不知火’と‘はれやか’では,乾燥予措を施した場合に,貯蔵中の糖と酸の1果当たり総含量の減少が抑制された.‘はるみ’を除く品種において,乾燥予措により果皮障害の発生が助長された.特に,‘清見’と‘はれやか’では発生率が高かった.貯蔵湿度は内部品質と外観に対して影響を及ぼさなかったが,果実重の減少は高湿度により抑制され,乾燥予措をせずに高湿度で貯蔵した場合には果実重がほとんど減少しなかった.‘清見’は,出庫すると果皮障害が多発したが,出庫時に果皮表面に結露した水滴を拭い取ることにより障害が軽減された.