園芸学研究
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土壌管理・施肥・灌水
緻密度を高くした土壌でのトマトとキュウリの施設栽培
白木 己歳深田 直彦
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2004 年 3 巻 4 号 p. 377-380

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抄録

膨軟な土壌の慣行栽培に対し,土壌緻密度が山中式硬度計で,20~24 mmあるいは25~28 mmと高い二つの栽培床を設け,トマトとキュウリの施設栽培を検討した.
土壌緻密度が高い条件で慣行栽培並の草勢を得るには,20~24 mmの栽培床では慣行栽培と同じでよかったが,25~28 mmの栽培床では栽培初期だけ,灌水回数の上積みと慣行栽培では不要な数回の液肥施用を必要とした.
土壌緻密度の上昇にともなって,キュウリは総収量も上物収量も増加し,トマトは上物収量が増加した.
土壌緻密度の高い区では,気相率の低下が著しく,25~28 mmの栽培床では10 %以下であった.また,この栽培床の跡地土壌は,交換性塩基とCECの数値が高かった.
収穫を終了したトマトの根の状態を調べた結果,緻密度の高い区ほど,採取できる根量が少なかった.根の分布している場所は各区とも上層ほど多い傾向があり,土層の緻密度との関係は認められなかった.
土壌緻密度を高める栽培は,畦を立てないため,作畦用機械が不用で,圃場内の作業性も向上する利点があった.

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© 2004 園芸学会
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