園芸学研究
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発育制御
走査型電子顕微鏡を用いたウメ‘南高’におけるえき芽の発育観察
高松 善博北川 智浩竹林 晃男宇都宮 直樹
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2004 年 3 巻 4 号 p. 409-413

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抄録
ウメ‘南高’17年生樹において,1998年5月13日から翌年の1月中旬まで,短果枝(10 cm以下),中果枝(10~30 cm),長果枝(30~60 cm),徒長枝(60 cm以上)の中央部におけるえき芽の内部形態の変化を2週間ごとに走査型電子顕微鏡で観察した.また,5月13日に採取した徒長枝においては,その上部の展葉直後の葉位前後のえき芽の内部形態の観察も行った.
展葉直後および未展開葉の葉えきでは,中央部に大きな生長点と幅が広く先端に切れ込みのあるりん片から成る組織とその両側に生長点とやや細長いりん片から成る組織とが1個ずつ形成されていた.この中央部の組織は主芽となり,両側の2つの組織は副芽へと発達した.どの種類の枝においても,8月上旬までは副芽において形態的な変化が見られなかった.しかし,8月下旬には副芽の生長点が平たくなり,9月上旬になるとがく片が形成された.この時期になると副芽は主芽よりも大きくなり,両者を肉眼で明瞭に区別することができた.花器形成は停止することなく急速に進行し12月には胚珠組織が形成された.一方,主芽は12月上旬まで大きさおよび内部形態にはほとんど変化が見られなかった.これらの結果から,ウメ‘南高’では早期から葉えきで副芽が形成され,8月中旬頃からその副芽において花芽形成が開始し,主芽と副芽の発達様式は全く異なることが明らかになった.
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© 2004 園芸学会
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