三倍体の無核スダチ育成を目指し, 1992年に四倍体スダチと二倍体スダチで297花の交配を行い, 50個体の三倍体を得た. 三倍体の選抜にはフローサイトメーターを用いた. 二倍体を種子親に用いた場合は不完全種子が形成され, 三倍体はほとんど得ることが出来なかった. 四倍体を種子親に用いた場合は完全種子が形成され, あるがある程度の三倍体を得ることができた. それらの中から‘徳島3X1号’を選抜し, 種苗法に基づき品種登録された. ‘徳島3X1号’の果肉は鮮やかな緑色で種子はなく, 果汁は豊富である. さらに, 今までのスダチで最も早く収穫することができ, 高品質果実生産が可能な早生スダチとして期待されている.
三倍体の作出は, スダチのみならず他の香酸カンキツにおいても無核品種を育成する最も有効な方法の一つであると思われる.