2005 年 4 巻 1 号 p. 21-26
サクラソウの組織培養による種苗増殖技術を確立するため, 葉および根組織切片からの植物体再生について検討し以下の結果を得た.
1. 園芸品種の葉切片を, 4.44×10-6M BAと5.3×10-7M NAAを添加した1/2MS培地に置床して培養すると再生植物が得られたが再生率の品種間差が大きかった.
2. 葉切片から得たin vitro再生植物の根組織切片を外植体とし, 10-6M BAを添加したMS培地に置床して培養すると高率にカルスが得られた.
3. 形成した不定芽は, 植物生長調節物質を添加しない培地に移植して継代培養すると5~6本のシュートの伸長とともに発根が認められ再生植物となった.
4. 培養条件は, 20~25℃が適温で, 暗黒下より照明下の方がカルスから形成した不定芽の伸長が良かった.
5. 培養苗は, バーミキュライトを詰めた育苗器内に仮植した後, 培養土を用いてポット植えすることにより効率良く順化できた.