抄録
夏秋トマト雨よけ栽培において, 放射状裂果の発生の要因を明らかにするため, 潅水方法の違いによる土壌水分の変化や整枝法の違いの影響について検討した.
茎葉や果実への日射量が少ない条件では, 土壌水分状態を変化させることによる放射状裂果の発生への影響は認められなかった. また, くず放射状裂果の発生は, 果実肥大の大きい果実が発生しやすい傾向が認められた. 一方, 潅水条件が同じであっても, 茎葉や果実に対する日射量が多い条件では, 少ない条件に比べて明らかに放射状裂果およびくず放射状裂果が発生しやすく, 果実肥大に関係なく発生した.
これらのことから, 夏秋トマト栽培における放射状裂果の発生は, 土壌水分の変化の影響は比較的少なく, 茎葉や果実に日射が当たりやすい条件で発生すると推察された.