抄録
着果量の異なるウンシュウミカン‘青島温州’について,秋季から春季の樹体内のデンプン含量(葉,枝,根)を調査したところ,いずれの部位も不成り年樹で成り年樹より高い値で推移した.また,根のデンプンは他の器官より早くから蓄積しはじめ,不成り年樹で11月から,成り年樹で収穫後の1月からそれぞれ含量が多くなった.着果量の違いが樹体内のデンプン含量に最も反映する部位と時期は,11~2月の根であった.このことから,これが冬季の炭水化物の栄養状態を把握するために適する時期および部位と考えられた.
デンプン含量が増加した原因を解明するため,光合成速度を測定した.その結果,ウンシュミカンは冬季においても光合成を行っていたことから,根中デンプン含量の増加は,光合成に起因していると考えられた.
一方,生産現場における‘青島温州’の冬季(12月)の根中デンプン含量と翌年の着花量との関係を調査したところ,根中デンプン含量と翌年の葉花比との間には負の相関関係がみられ,着花量の予測が可能と考えられた.