抄録
ミニチュアローズの周年鉢物生産における計画的な生産体系の確立を目的として,1年を通じて日射量と気温などの環境要因と植物体の生育との関係を調査した.生育日数は夏栽培,春栽培,秋栽培の順に長くなった.植物体の生育に及ぼす環境要因の影響を明らかにするために,葉面積,生葉重,生体重,葉数および草丈の各生育指標について,日射量,気温に関する環境要因を説明変数として重回帰分析を行い,説明変数の有意性を検定した結果,積算日射量,積算昼間気温,積算夜間気温が主要な説明変数であった.各生育指標と積算日射量,積算昼間気温および積算夜間気温との関係をみた結果,いずれの生育指標においても有意な相関関係が認められた.各生育指標について,これら3種の環境要因を用いて重回帰分析を行った結果,有意な重相関係数を持つ重回帰式が得られた.重回帰式の変数項と定数項が有意であったことから,積算日射量,積算昼間気温および積算夜間気温を用いた重回帰式によって生育を推定でき,環境要因を制御することでミニチュアローズの生育を制御できることが明らかとなった.