人間福祉学会誌
Online ISSN : 2435-9254
Print ISSN : 1346-5821
向老期にある女性被収容者に対する健康維持増進ケアモデルの有効性
中谷 こずえ廣渡 洋史
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 21 巻 2 号 p. 117-127

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抄録
本研究の目的は、向老期にある女性被収容者が自身の健康に目を向け、行動変容を支援する健康維持増進ケアモデルを開発し、主観的指標を用いてその有効性を検証することである。研究方法は、 4 つの大項目①呼吸法、②口腔ケア、③腰痛体操、④手洗いをケアモデルとした介入研究である。研究対象者は、向老期にある女性被収容者28名である。期間は、基礎水準期、介入期、フォローアップ期からなる。主観的評価として、日常生活状況、歯周病症状の前後比較をした。ケアモデル後の自身の変化は、単語頻度解析から階層型クラスタを用いてまとめあげた。結果は、「睡眠の質」、「歯周病症状」の項目に関して、有意な改善がみられた。対象者自身の変化として抽出された構成概念の詳細は、【丁寧・良い・大切さ・心】、【思う・歯・健康】【気持ち・笑う・ストレス・学ぶ・呼吸法】【生活・腰痛体操・前向き・考える】であった。これらは、健康に対して積極的な行動や前向きな心の変化が記されていた。このケアモデルによって、健康という視点から、対象者自身の将来までも見据える行動変容の機会になったと考えられた。
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© 2022 人間福祉学会
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