2019 年 13 巻 2 号 p. 167-191
P2M理論にて「プログラム」は、オーナーより与えられたミッションを、マネジャーらが実施することが想定されている。一方、政府開発援助(ODA)は一般に、ステークホルダーが多岐に渡り、個別プロジェクトの実施と成果発現に要する時間は長くなることから、そのプログラムアプローチにおけるミッション形成と組織体制、その後の価値実現プロセスに特徴が生じる。本研究は先行研究及び事例分析を通じて、ODA事例の「プログラムアプローチ」のマネジメント組織体制及び価値実現プロセスの枠組みに関する特徴を示し、続いてその条件の下でODAにP2M理論のプログラムアプローチを適用し持続的価値を実現するために、充足が望まれる条件の抽出と検討をおこなった。その結果、多くのステークホルダーによる「集合的ミッション」形成の必要性及びそのために必要となる条件と方法論を明らかとした。