2014 年 8 巻 2 号 p. 169-182
環境の複雑性や将来の不確実性が増す中、問題解決に望まれる将来像を描き、中長期的な視点からの戦略立案が重要となっている。数あるP2M方法論研究対象のうち、未来社会を提供するシナリオ研究は十分になされていない。本報では規範型・探索型シナリオ、帰納的・演繹的なアプローチの違いを理論展開し、気候変動問題を例に方法論研究を行った。従来の規範型アプローチ"IPCC型シナリオ"は、非線形因子による前提が真ではなくなった可能性を示した。未来マネジメントには、演繹的アプローチ(探索型)のシナリオ・プランニングが適していることを示した。環境行政向けの未来社会シナリオは、政策決定者に論理的・分析的な思考を与える可能性がある。