抄録
プログラムマネジメントは、米国の巨大な行政組織におけるトップダウン型の「戦略策定」のためのシステム分析と予算管理手法に源流がある。これに対し日本版プログラムマネジメントは、ミドルを主役として行政、地域、企業における複雑な企画事業を「戦略実行」に注力する管理手法を開発した。2001年に"Project and Program Management"(P2M)が発刊されたが、この8年間でプロジェクトとプログラムの文脈に多様な議論も生じている。そこで、本論は、P2Mに触発された最近の戦略リンクやポートフォリオを強調する欧米論文の意図を紹介して、プログラムマネジメントの文脈とP2Mの中核となる価値創造視点の統合について省察する。さらに、本社とプログラムの関係と境界論点を整理し、実現価値獲得向上への試論を展開する。