抄録
本研究の目的は、「製品の性能向上が物理的限界に達した場合、企業はその限界をどのようにして克服するのだろうか」という問いに対し、その要因を明らかにすることである。この目的のために、京セラにおける温度補償型水晶発振器(Temperature Compensated Crystal Oscmator,以下TCXO)の開発事例を用いる。そこでは、製品性能向上のボトルネックとなった制約部品と、それと相互依存関係を持ちながら製品性能を満たしていた周辺部品のうち、周辺部品(補完部品)の技術イノベーションが性能向上における物理的限界を補う可能性を持つことを示す。