抄録
欧州市場で事業を展開する日本企業、特に製造業にとって、EU環境規制の動向把握と対応が事業展開上のリスク・マネジメントの要諦となりうる。欧州市場においては、厳しい環境規制のみならず、政府や評価機関など多様な利害関係者との関係構築が事業遂行の鍵を握ることも少なくない。また海外事業展開においては、グローバリゼーションとローカリゼーションのバランスを図ることが重要になる。また、昨今の製造業の事業内容は、製品自体の提供に重きを置いた時代から、製品販売後のアフターケアや製品使用段階の機能に着目するトータル・ソリューションの提供に付加価値を見出す時代へと移りつつある。本稿では、ある日本企業の欧州事業展開としてトータル・ソリューションの事例を採り上げ、P2Mが果たしうる機能とその課題について検討する。