抄録
本論文では経済学の手法によるP2M理論の拡張の意義を論じる。第一に、これまでもP2M理論の先行研究においては理論枠組みに需要側の要因をも十分に取り込むことの必要性が指摘され、需要側の要因はたとえば「オーナー」や「超上流」などの概念により導入されてきた。P2M理論へ需要側の要因を取り込むうえでは、新古典派経済学の手法が有用と思われる。第二に、これまでもP2M理論の先行研究では時系列分析への取り組みがなされ、たとえば理念としての動学化や「3Sモデル」などの概念が示されてきた。P2M理論の動学化のうえでは、経済動学の手法が有効と思われる。本論文では経済学の手法による拡張への序説として、国際経済学における国際分業理論をふまえ描出した仮設値による模式図「分業推移図」について説明する。