抄録
世界を取り巻く気候変動問題は、科学の発展により様々な要因に起因することがわかっている。だが、単純化された対策プロセスからは、レジリエンス(回復性)を兼ね備えた対策を見出すことは難しい。そこで本報は、シナリオ・プランニング手法を用いて適応能力のある気候変動対策の今後を示す。シナリオは(1)IPCC中心とした対策(2)西洋的メンタリティが支配する対策(3)自然変動に起因した気候変動、からなる。この研究は、非常に不確実な気候変動トピックにおいて、前提条件でシナリオが全く違うものになることを示す。これにより「トンネルのように狭い」西洋的メンタリティの欠点を補完するためには、多視座的なシナリオが必要であることが分かった。