抄録
著者らは,これまで,バランススコアカード(BSC)を企業の研究開発(R&D)プロセスに適用し,研究開発のための「マルチプログラム・プラットフォーム構造」と,そのマネジメント・メカニズムについて検討を行ってきた.そして,前報では Purdue Enterprise Reference Architecture(PERA)を援用し,完成品製造企業を一例に「マルチプログラム・プラットフォーム構造」のメカニズムの解明を試みた.その過程で,バランススコアカード(BSC)が提示する戦略はある特定の時点におけるものであり,BSCの戦略が環境や状況の変化に対応するためには,時間軸方向で複数のプログラムを管理する構造の必要性が認められた.そこで,本稿ではこのBSCを時間軸方向に展開することで,時間軸方向においてマルチプログラムをマネジメントする構造として,「研究開発プログラムにおけるBSCのスクラム型(Rugby Scrum Type)マネジメント構造」を提案する.