抄録
プロジェクトおよびプログラムにおけるリスクマネジメントの重要性は広く認識されており、そのプロセスは概ね標準化されているにも関わらず、効果的な実践や定着化が困難となっている実態がある。その根本原因として、「リスクという不確実性を伴う事象に対する、トレードオフを伴う意思決定の難しさ」があると考えられる。本論文では、リスクマネジメントの本質的な課題に対して、取引コスト理論およびプロスペクト理論を用いて分析・考察するとともに、リスクマネジメントのさらなる高度化に向けて、機械学習と知識創造の統合アプローチである「Machine-in-the-loop(機械参加型)知識創造プロセス」を提案する。さらに、製品開発部門のマネジャー・クラスの実務者7名へのインタビュー結果に基づいて、その有効性を検証する。