抄録
システム開発プロジェクトの大規模化と複雑化に伴い、定量的プロジェクト管理の重要性が増している。近年では、プロジェクト管理におけるツールや環境の発達により、組織データベースに十分な量のプロジェクトデータが蓄積されるようになった。これらのデータを用いて、機械学習によるプロジェクト異常予測を試行し、精度面で実運用可能なレベルになったことを確認したが、その一方で、失敗の予測だけではプロジェクト状況が改善されにくいという課題も明らかになった。本研究は、失敗が予測されたプロジェクトの早期のリカバリーを目指し、プロジェクト失敗の兆候となるリスク事象を体系的に抽出し、実事例と比較してその妥当性を確認した。