抄録
災害リスク削減における政府開発援助(ODA)は他のセクターと比べて様々な特異性を持ち、プログラムマネジメントはプロファイリング段階から複雑である。本論文は、長年JICAが支援をしてきたフィリピンの治水対策に関連したプロジェクト群を詳細に分析し、相手国やその時の社会状況を踏まえ、災害リスク削減を目指すシステムの全体構造を把握し、三つのレベルで変化に応じた調整・適応による循環を発生させ、システム全体の最適化を図ることがプログラムマネジメントの観点で重要であることを抽出した。また、実効性確保のためにも、システムの循環に関係する利害関係者との信頼関係醸成は重要な条件であることを示した。