抄録
デジタル経済の規模が拡大する現代において、アジャイル開発は、変化への素早い対応に適していることや、何が正解か分からないといった不確実性の高い状況にも適しているという点で期待されている。本論文の目的は、アジャイル開発の特徴が、これらの利点を生み出すメカニズムを明らかすることである。具体的には、アジャイル開発の開発単位を細分化する特徴が、投資期待値を向上させることを示している。これは、ソフトウェア開発における投資の不確実性を低下させるメカニズムであると言える。これは、リアル・オプション理論における撤退オプションによって説明が可能である。