抄録
脱温暖化の技術として、バイオマス分野の研究が期待はされているが、バイオマスの利活用は、その二酸化炭素削減効果や経済性だけでは事業の持続性構築が難しい。我々の先行研究では、農業(特に稲作)を中心としたバイオマス利活用を見直す研究プロジェクト群のプログラムを題材にして、P2Mを活用したプロジェクトメンバーの合意形成に関する実例報告を行った。
バイオマスの利活用は、生産、食料・素材利用、エネルギー利用、廃棄などさまざまな工程があり、その社会的プロセスが複雑になっている。多くの技術開発がプロセスごとになされているが、その社会への実装ではプロセスを渡るマネジメントが不可欠である。そして、そのプロセスによっては、必ずしも経済性が伴わないものもあり、環境負荷や生物多様性などへの配慮も不可欠である。
本報告では、こうしたバイオマス分野の研究において相互連携する研究開発の評価と、複雑な価値体系を考察し、価値指標マネジメントのデザインを試みる。