抄録
持続可能な社会の実現に向けて、企業主導での社会イノベーションが求められている。イノベーションを成功に導くにはプロジェクトマネジメントが重要であり、P2M理論におけるスキームモデル型プロジェクトでの合意形成とシステムモデル型プロジェクトに対する目標設定が重要となる。それらに関する研究を推進するための仮想実験環境では、ビジネス環境シミュレータの構築が鍵となる。ビジネス環境シミュレータでは、様々なステークホルダーがそれぞれの判断に基づき行動を実施し、それらが互いに影響を及ぼす点が、物理現象のシミュレータとの大きな違いである。本稿では、ビジネス環境シミュレータへのステークホルダー別判断ロジックの組込みについて議論し、宅配便業界を例題としてステークホルダー毎の判断ロジックを組込んだシミュレーション実験を行うことで、その有効性を確認する。