抄録
看護の高等教育機関(大学、専門学校)では、最高学年の時に、2名以上の複数患者に対する多重課題を解決するための能力を身につけるための統合実習が行われる。この統合実習の効果を高めるために、実習前の演習(事前指導)と実習後の演習(事後指導)が設計・開発され、その効果も示されている。この事前・事後指導(多重課題演習)が多くの高等教育機関や医療機関に広がれば、統合実習終了時点の能力と看護現場で求められる能力のギャップによる新人看護師の職場不適応や早期離職を防ぐことができる。そこで、プラットフォームマネジメントの考え方を活用した展開のための戦略を立案し、3Sモデルに基づく中長期計画の中で具体化し実践してきた。これらを踏まえ、多重課題演習の展開に向けた方略として、展開に協力してくれるコアとなる人材を多方面から獲得すること、指導法の基盤となる知識をより良く理解してもらうための活動に取り組むこと、教材や情報を絶えず供給することを提案した。