抄録
本論文は、政府開発援助(ODA)による難民背景のある人達向けの第三国への留学プログラムという、(1)ニーズ対応の緊急性が高く、(2)対応の制度や状況が十分定まらず流動的であり、(3)ステークホルダーが多数かつ多様であることから複雑性を持つ、社会的プログラムの対応について、P2M理論の枠組みを適用して分析することにより、かかる特性を持つプログラムのマネジメントの特徴と留意点を考察する。そのためにJICA等による取り組みを時系列に分析した結果、上述のような特徴を持つプログラムにおける集合的価値実現のためには、プログラムの実施過程においてシステムモデルとサービスモデルの間を頻繁に行き来できるようなアジャイルなマネジメントが重要であること及びその実現に求められる要件を明らかにした。