2021 年 69 巻 3 号 p. 1156-1164
新羅時期の高僧元暁は多種の仏典「宗要」を著作している.現存する五種の「宗要」の解経体例は二つのパータンに整理できる.一つは六つの部分に分かれるパータン,即ち「六門分別」である.もう一つは三つの部分に纏めるパータンである.即ち述大意・釈経宗致・重要な議題を料簡することである.
彼の著作『法華宗要』の構成は「六門分別」であり,三論宗の吉藏の『法華玄義』と近いが,内容からみると,その中に「消文義」が含まれてなく,五門になっている,そして,「判教」が独立の一門として論述されている.これは智顗の『法華玄義』と類似する.
元暁は吉藏の『法華遊意』にある「三種の法輪」を引用したが,『解深密経』の立場からこれに対して,疑問を呈している.また,『法華経』は了義経であるが,中に不了義語も存在すると説かれている.元暁の「別通分満」という四教判の思想は智顗の「蔵通別円」とも通じる.よって,元暁にとって,吉藏より,智顗の影響が大きいであろう.
元暁は「一乗実相」によって『法華経』の宗要を解釈している.智顗・吉藏が「実相」によって,『法華経』を解釈する方法と一致する.また,「一乗法」を一乗理・一乗教・一乗因・一乗果と説明するのは,彼の華厳宗の立場を現し,唯識思想との関係も近い.『法華経』の「経体」と「経宗」を区別する際に,元暁は「経」と「体」を区別せず「体用合挙」という解釈手段を使っている.これはまた智顗と異なり,吉藏の「宗体無異」という主張と類似する.