抄録
近時直流機は極く小容量のものを除いては大抵補極を有し整流中の電機子捲線中に其の誘導電壓(コイル、インダクタンスに基ける)を打消すべき起電力を生ぜしめて整流を助けて居る。此の誘導電壓即ち所謂リアクタンス、ヴホルテージ及び補極によりて生ぜらるゝ起電力は何れも一種の脈動電壓であるから、補極の作用は唯誘導電壓を其の平均値に於て打消すに過ぎず、從て一種の交番電壓が打消されずに殘り、之が相當に大なる値を有する時は整流不良の原因となる。此の交番電壓に應々リアクタンス、ヴオルテージに近き値を取ることがある。
リアクタンス、ヴオルテージを正確に計算し補極の強さを正確に設計することは頗る困難であるが若し機械完成の上で補極の強さに過不足ある塲合には空隙の調整其他の方法で修正し得らるゝから、リアグタンス、ヴオルテージの大小は整流の難易には直接影響なくして前記の補極によりて除き得ざる交番電壓によりて難易が定まる。
此論文は圭として此問題に就て解析的に研究し、結論としてスロツトの設計、捲線方式空隙の大さ等の選定の重要なろことウエープ、ウインデイングの有利なることデュープレツクス、ワインデイングの避くべきこと等を述べて居る。