抄録
コンピュータ·ビジョンやグラフィックス分野では種々の光反射モデルが提案されている. しかし,それらのモデルが含むパラメータは経験的に決められることが多い.その理由の 一つに実験の再現性確保の難しさが挙げられる.試料の姿勢などが異なる実験結果を比較 するためには,実験ごとに試料から輝度の基準値を求めることが必要である.先に,直方体 の試料を用いることで,姿勢の変化に強い垂直拡散反射輝度の推定法が示されている. 本稿では,垂直拡散反射輝度を基準輝度値として用いることで,円柱状に丸く縁取りされた 直方体の稜面の拡散反射輝度を定量的に解析し,稜面における拡散反射輝度値が入射角の 余弦の2乗で良好に近似されることを明らかにする. また,稜面と平面の拡散反射輝度値の定量的な関係式を求める.最後に,6個の試料に対する実験により妥当性を検証する.