抄録
ハーフトーン画像として誤差拡散方式を取り上げ,その透かし埋め込み方式と,画質に影響しない範囲での埋め込み量の検討を行った.従来は,ハーフトーン化処理前の多値原画像情報を利用するものがほとんどであるが,ここではより汎用性を持たせるためにハーフトーン化後の情報のみを用いる方式を前提とし,2値画像では,文字画像に代表されるエッジ部分に情報を埋め込むと画質を大きく劣化させてしまうことを配慮して,自然画像と文字部分の像域を判別し文字画像部分への埋め込みを抑制する像域分離方式を新たに提案している.シミュレーションの結果,Jarvisの拡散係数方式において全画素数の3~4%程度の埋め込み量であれば,埋め込みが検知できない程度の画質が得られ,参考となる従来方式の約2倍の情報埋め込みが可能であることがわかった.