2011 年 40 巻 5 号 p. 761-767
粒子法を用いて血流を考慮した大動脈の変形および出血のシミュレーションを行った.本手法では非圧縮性の血液を取り扱えるMPS法を用い,血流だけでなく大動脈の血管壁も粒子として統一的に変形計算を行った.更に,連続体の構成方程式を近傍粒子間ではなく2粒子間の関係式として扱うことで,複雑な支配方程式を用いることなく構成方程式と運動方程式による高速解法が可能となった.Core2Quad Q9550 CPU,GeForce9800GT GPUのPCを用いて約15,000の粒子から構成される大動脈と約7,000の粒子から構成される血液のモデルに対して大動脈の変形シミュレーションを行ったところ,1ステップ当たり約200msで実行できた.