画像電子学会誌
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論文
前景部の穴埋めと相対強度比を用いた難視性パターンの前景耐性及び抽出率の改善
金田 北洋乾 智貴岩村 惠市越前 功
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2016 年 45 巻 1 号 p. 71-83

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抄録
著者らは既に,紙などの物理メディアの背景に視覚的に違和感なく情報を埋込む手法として,難視性パターンを提案している.これまでの実験により,印刷文書への情報埋め込み/抽出において,文書品質・印刷耐性・幾何変換耐性・機材非依存性・回転耐性は良好であることが検証されている.一方,難視性パターン上に,文字,図表などの前景が印刷されている場合においても,安定して情報が抽出できること(前景耐性)が実用上必要である.また,その普及に重要なカメラ撮影画像からの安定的な情報抽出も求められている.これまで前景耐性に関しては,難視性パターン上にそのパターンが残るように前景を重畳した場合においては,一定値未満の濃度差であれば,情報抽出を行うことが可能であることが報告されている.しかしながら,難視性パターンが上書きされる形で前景を重畳した場合は,難視性パターンを特徴付ける低周波数領域の分布が大きく変化し,情報抽出が不可能とされてきた.また,カメラ撮影の場合,照度ムラの影響により,スキャナ読み取りと比較すると,抽出率が低いことがわかっている.本稿では,まず,カメラ撮影画像に対して,従来の基準パターンと比較する手法ではなく,隣接する難視性パターン同士の相対比較によって照度ムラの影響を最小限に抑える手法を提案する.さらに,これと組み合わせて,前景耐性を確保するため,前景部の輪郭を識別し,その中を難視性パターンで埋めることにより情報抽出することを提案し,実験的にその有効性を確認したので,報告する.
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© 2016 一般社団法人 画像電子学会
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