画像電子学会誌
Online ISSN : 1348-0316
Print ISSN : 0285-9831
ISSN-L : 0285-9831
45 巻, 1 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
招待論文
  • 上田 修功
    原稿種別: 招待論文
    2016 年45 巻1 号 p. 4-11
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    本論文では,多くの人々が同時に目的地に移動しているようなイベント会場や都市部での混雑環境下で,リアルタイムかつ近未来予測に基づく新たな先行的誘導技術について説明する.先行的誘導には時空間予測手法が必須となるが,本論文では,時空間統計に基づく手法について説明し,実験により従来の行列分解に基づく時空間予測技術との比較を行う.次いで,時空間予測技術を用いた先行的誘導技術について述べ,イベント会場を模したシミュレーションデータを対象として提案する先行的誘導技術の有効性を検証する.
論文
  • 児玉 明
    原稿種別: 論文
    2015 年45 巻1 号 p. 12-19
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    キャッシュ映像配信システムにおいて,アクセス数,時間などの優先度に基づいた映像コンテンツ管理方法が検討されている.しかし,これまで実用的なアクセス変動に対する検討が不十分であり,時間帯ごとのアクセス数変動や複数品質利用に伴う変動に対して課題を有する.そこで本稿では,映像利用属性に基づいた優先度推定を用いたキャッシュ映像コンテンツ管理方式を提案する.まず,キャッシュ映像の更新状況を考慮し,通常映像と更新映像の2 種類を定義し,各映像利用属性として用いる.次に,この属性情報と参照区間内のアクセス数,品質比率を利用し,各映像の優先度を推定し,キャッシュ効率の向上を図る.評価モデルとして,1day モデルを採用し,アクセス数変動モデル,品質変動モデルを定義する.各モデルにおいて,従来方式としてLFU 手法を取り上げ,提案方式との比較をシミュレーション実験により行った.その結果,キャッシュヒット率において,提案方式は従来法よりも約12~22%向上することを示し,その有効性を明らかにした.
ショートペーパー
  • 高野 邦彦, 宮﨑 真宏, 八重樫 研介, 山口 真, 大木 眞琴, 佐藤 甲癸, 浅井 紀久夫
    原稿種別: ショートペーパー
    2016 年45 巻1 号 p. 20-26
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    本稿では,ミスト封入型薄膜スクリーンを利用したホログラフィ立体像投影法について検討する.この方法では従来のミストスクリーン方式において課題となっていた表示像の揺らぎを軽減することができるが,その表示持続時間が短いため薄膜の耐久性の検討が必要になっていた.そこで,薄膜を構成するシャボン玉液の構成条件を変更することで像表示が可能な時間を改善する検討を行った.その結果,従来法に比べて大幅に表示時間を改善できることがわかった.また,奥行きを持つ物体や二色レーザ光による再生物体の多重表示の可能性についても確認実験を行った.
  • 戸塚 真隆, 高野 邦彦, 大木 眞琴, 松本 充司, 佐藤 甲癸
    原稿種別: ショートペーパー
    2016 年45 巻1 号 p. 27-31
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    計算機合成ホログラムの進展および光の干渉縞の実現が容易になったことに伴い,ホログラムなどの立体画像を成長の著しい携帯電話に適用することが期待されている.ホログラムにおいては,干渉縞から立体像を可視化するのに再生光が必要であるため,照明と情報通信を兼ねた可視光通信が有効であること,またホログラム伝送では高速な光無線通信が必要であることから,簡易端末用に利用されているIrSimple 赤外線通信プロトコルの適用が望ましいと考えられる.本論文では,計算機合成ホログラムの創生,そして可視光通信システムにIrSimpleプロトコルを適用する通信方式の検討内容と,実験結果について述べる.
論文
  • 児玉 明
    原稿種別: 論文
    2016 年45 巻1 号 p. 34-41
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    映像コンテンツ配信システム(VCDS) の配信負荷の軽減のため,キャッシュ配信方法が利用される.特に,キャッシュ配信の効率化として,アクセス数,利用時間などの優先度を用いたキャッシュコンテンツ管理方式が検討されている.また,複数品質コンテンツ配信では,品質独立データ容量は膨大となるため,階層データによる管理方法が検討されている.しかし,時間経過に伴いアクセス数が変動する場合や人気があるコンテンツが頻繁に登録利用される環境において課題を有する.そこで本研究は,人気コンテンツの更新環境に着目し,階層的品質遷移規則の下で,アクセス数に基づいたコンテンツ管理法を提案する.提案方法では,新たにキャッシュされるコンテンツを低品質データに限定することで,キャッシュ容量を抑制し,その分を新たな人気コンテンツに割り当て,コンテンツ管理効率の向上を図る.実用的な配信コンテンツ,アクセス数変動モデル,品質変動モデルの下で行ったシミュレーション実験により,キャッシュコンテンツに対するアクセスヒット率が,提案法では従来法に対して最大6.67%有効となることを示した.
  • 岩田 壮平, 榎田 修一
    原稿種別: 論文
    2016 年45 巻1 号 p. 42-52
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    近年,物体検出においては局所領域における要素間の関係性に着目した特徴が有効であると報告されている.Co-occurence Histograms of Oriented Gradients(CoHOG)もそのうちの一つで,この特徴は複数画素間における勾配分布の関係性を考慮することで複雑な形状を捉えることができる.しかし,単一の要素に着目した特徴に比べて計算コストが指数関数的に激増し,特徴次元が非常に高くなることが問題視されている.そこで本論文では,識別精度を低下させることなく特徴次元の増加を線形に抑えるために,多重解像度処理を導入したCoHOG (MRCoHOG;Multiple Resolution CoHOG)を提案する.MRCoHOGは勾配ペアを投票する範囲を狭くすることで特徴次元を削減し,複数の低解像度画像から同数の特徴を抽出することで計算コストを削減させる.駐車場監視映像から切り出した車両データセット及びINRIA person datasetを用いた識別実験の結果,MRCoHOGはCoHOGと同程度の識別性能を示すことを確認した.
  • 岩切 宗利, 堀田 富宝, 早田 赳
    原稿種別: 論文
    2016 年45 巻1 号 p. 53-61
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    3次元センシング技術の進展と普及により,3次元の空間情報に含まれる構造や形状などの特徴情報を分析する手法の需要が高まりつつある.従来の2次元画像や距離画像に関する情報処理手法は,主に2 次元的な隣接値の分布を特徴として捉えるため,3次元的な特徴を適切に抽出できない場合があった.本論文は,空間情報の一種である3次元点群が持つ局所的な形状構造を,特徴として数値的に捉える手法を提案し,その性能評価結果を示すものである.提案手法は,3次元点群の局所領域から推定した法線分布が,その近傍の3次元的形状構造に強く依存する性質に注目した統計的分析法である.シミュレーションや実測による数値実験の結果,提案手法は,オクルージョンやセンシングノイズによる欠損や空間密度の偏りに対してロバストであることがわかった.
  • 川村 思織, 宮崎 智, 菅谷 至寛, 大町 真一郎
    原稿種別: 論文
    2016 年45 巻1 号 p. 62-70
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    情景画像中の文字を認識する需要が高まっているが,不均一な照明や複雑な背景,影などにより,文字を正確に検出して認識することは未だに困難な問題である.高精度な文字検出を実現するために,スマートフォンやタブレットなどのタッチ操作が可能なデバイスを用い,ユーザが補助線などの補助情報を与える手法が提案されている.本論文でもこの考え方を採用し,ユーザが補助線により画像中の文字の位置を大まかに指定し,その情報をもとに文字色の推定を行うことで文字領域を高精度に抽出する手法を提案する.提案手法により,複雑な背景の画像や明るさが不均一な画像でも画素単位で高い精度での文字領域抽出を行うことができることを公開データベースを用いた実験により示す.
  • 金田 北洋, 乾 智貴, 岩村 惠市, 越前 功
    原稿種別: 論文
    2016 年45 巻1 号 p. 71-83
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    著者らは既に,紙などの物理メディアの背景に視覚的に違和感なく情報を埋込む手法として,難視性パターンを提案している.これまでの実験により,印刷文書への情報埋め込み/抽出において,文書品質・印刷耐性・幾何変換耐性・機材非依存性・回転耐性は良好であることが検証されている.一方,難視性パターン上に,文字,図表などの前景が印刷されている場合においても,安定して情報が抽出できること(前景耐性)が実用上必要である.また,その普及に重要なカメラ撮影画像からの安定的な情報抽出も求められている.これまで前景耐性に関しては,難視性パターン上にそのパターンが残るように前景を重畳した場合においては,一定値未満の濃度差であれば,情報抽出を行うことが可能であることが報告されている.しかしながら,難視性パターンが上書きされる形で前景を重畳した場合は,難視性パターンを特徴付ける低周波数領域の分布が大きく変化し,情報抽出が不可能とされてきた.また,カメラ撮影の場合,照度ムラの影響により,スキャナ読み取りと比較すると,抽出率が低いことがわかっている.本稿では,まず,カメラ撮影画像に対して,従来の基準パターンと比較する手法ではなく,隣接する難視性パターン同士の相対比較によって照度ムラの影響を最小限に抑える手法を提案する.さらに,これと組み合わせて,前景耐性を確保するため,前景部の輪郭を識別し,その中を難視性パターンで埋めることにより情報抽出することを提案し,実験的にその有効性を確認したので,報告する.
  • 池城 和夫, 今村 弘樹
    原稿種別: 論文
    2016 年45 巻1 号 p. 84-97
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    本論文では,オクルージョン領域を含む人体の形状復元手法として,人体パーツマッチングと人体パーツの時系列姿勢情報を用いた人体形状復元手法を提案する.まず,オクルージョン領域発生シーンを以下の3つとして定義する.1つ目は複数人体間に生じる相互オクルージョン領域,2つ目は単人体上に生じる自己オクルージョン領域,3つ目は相互オクルージョン領域内において自己オクルージョン領域が生じる相互・自己オクルージョン共有領域発生シーンである.提案手法では,まず,あらかじめ取得しておいた対象人体のパーツをオクルージョン領域外の人体表面データにマッチングすることで,相互または自己オクルージョン領域発生シーンにおける人体形状復元を実現する.次に,相互・自己オクルージョン共有領域発生シーンでは,人体パーツの時系列姿勢データを用いて,相互・自己オクルージョン共有領域内の人体部位の姿勢を推定し,パーツを当てはめることで人体形状復元を実現する.本論文では,人工モデルを用いたシミュレーション実験と実人体を用いた実験を行い,提案手法の有用性を定量的・定性的に評価した.
ショートペーパー
  • 高野 邦彦, 桑﨑 博司, 佐藤 甲癸, 浅井 紀久夫
    原稿種別: ショートペーパー
    2016 年45 巻1 号 p. 98-104
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    ミストスクリーンを用いたホログラフィ立体像の空間投影法は,ボリウムを持つ立体像を表示するための有効な手法と考えられる.しかし,これまでの方法では複雑な形状のノズルや光学系を構成する必要があった.そこで,本稿では1つのファンのみにより螺旋状のミスト流を生成して表示ボリウムを構築し,同時にミスト流を整流する方法について検討する.その結果,従来法よりも表示システムの構造が単純化し,容易にボリウムを持つ立体像の空間投影が可能となった.さらに,スクリーンに横方向から風をあてた場合にも表示像の揺らぎを軽減できることがわかった.
  • 小篠 裕子, 有木 康雄
    原稿種別: ショートペーパー
    2016 年45 巻1 号 p. 105-111
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    家庭用ロボットにとって,人に発話指示された物体を特定し,把持することは必要なタスクのひとつである.人が物体を指示する際,人は物体名称や色など様々な属性を用いて物体を特定する.物体特定を達成するためには,人が発話した音声を認識し,音声認識結果に基づいて物体認識を行い,音声と対応する物体を選択する必要がある.このタスクを達成するため,本論文では,音声と画像のマルチモーダル情報を用いた色名称と物体名称に基づく物体特定手法を提案する.
  • 岡本 章裕, 中田 裕一, 田中 直樹, 廣野 康平
    原稿種別: ショートペーパー
    2016 年45 巻1 号 p. 112-117
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    レーダ映像から高効率に情報を得る手法として,反射エコーの形状特徴とその動きに基づきターゲットを抽出する方法を提案する.反射エコー強度に基づき抽出する従来法とは異なり,ターゲットは時空間的に安定した孤立領域であるという知識に基づいて抽出を行う.モルフォロジー演算による孤立陰影抽出フィルタ及び領域分割により,荒天時などクラッタ(雑音)が発生しやすい場合や小型船などの反射エコーが弱いターゲットを含む場合にも対応でき,橋梁や防波堤に分断される領域からも抽出が可能となった.人工構造物やクラッタを含むレーダ映像からデータセットを作成し,抽出実験を行った結果,従来法と比べ抽出漏れ・過剰抽出を大幅に軽減する特性が示された.
feedback
Top