画像電子学会誌
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SqueezeNetによる蛍光顕微鏡画像上のCTCの自動検出
中道 一貴陸慧 敏金亨 燮米田 和恵田中 文啓
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2020 年 49 巻 2 号 p. 136-143

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抄録

現在,日本人の死因第一位はがんであるが,転移を起こす前の早期発見,早期治療が重要であることが知られている.そこで,新しいがん検査のためのバイオマーカーとして血中循環がん細胞(CTC:Circulating Tumor Cells)が注目されている.CTCは転移性がん患者の血液に存在し,その解析を行うことにより,がんの検査や抗がん剤の治療効果の評価が可能とされている.病理学者は血液サンプルを蛍光顕微鏡で撮影した画像から解析を行うが,血液中に含まれるCTCの数は非常に少数であるため,負担の大きい作業となる.そこで本稿では,蛍光顕微鏡画像からCTCの自動検出法を提案する.提案手法では,まず選択的強調フィルタとブロブ解析を用いて細胞領域を検出したのち,畳み込みニューラルネットワークの一種であるSqueezeNetを用いてCTCの識別を行う.SqueezeNetへの入力画像には,蛍光顕微鏡で撮影された3種類の画像を合成したものを用いる.実験では,6症例(5,040枚の画像)に対し提案手法を適用し,真陽性率:97.30[%],偽陽性率:3.150[%]という良好な結果を得た.

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© 2020 一般社団法人 画像電子学会
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