医療と社会
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特集論文
米国FDAにおける医療機器審査概要と実際
内田 毅彦
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2009 年 19 巻 1 号 p. 73-81

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抄録

 米国で医療機器規制を司る Center for Devices and Radiological HealthはFood and Drug Administration (FDA)の8つのセンターの一つであるが,FDA 自体も日本の厚生労働省にあたる Department of Health and Human Services 傘下にある。
 米国では医療機器はそのリスクに応じて3つのクラスに分類され, 相応の規制がなされている。 一部の Class I と殆どの Class II 医療機器は510(k)と呼ばれる様式で審査され,最もリスクの高い Class III 医療機器は PMA (Premarket Approval) と呼ばれる様式で審査がなされる。510(k)に相当する審査体系は現在日本に無く,その柔軟性のために,日本でも導入が検討されている。米国における治験には日本の治験届に該当する IDE (Investigational Device Exemption) の承認が必須であり, ICH-GCP 準拠をはじめとするシステムは共通点が多い,しかし, FDA の Pre-IDE というシステムは無料でアクセスがよく,実際の審査との一貫性も高いことから有用である。
 米国と日本での相違のもう一つは審査の判断を手助けする外部の専門協議の在り方である。 FDA でのパネル会議は日本の専門協議とは異なり原則的に一般に開放され透明性が高い。会議の結論は FDA 審査の参考となるが, FDA がパネルの判断を覆すこともある。
 また,審査官の免責も FDA では明確にされており,不作為で訴訟のリスクを抱える日本の審査官とはこの点で大きく異なる。

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© 2009 公益財団法人 医療科学研究所
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