育療
Online ISSN : 2436-5602
Print ISSN : 1881-5391
小児がん治療を受ける子どもにとっての院内学級という場の意味
入院生活における院内学級と心理社会的発達
永吉 美智枝斉藤 淑子足立 カヨ子高橋 陽子谷川 弘治
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 67 巻 p. 11-20

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抄録

小児がん治療のために入院中の子どもにとっての院内学級という場のもつ意味を明らかにすることを目的に、 質的記述的研究を行った。 入院中に病院内教育を受けた小児がん経験者14 名を対象とした。分析の結果、78のコードから 26 のサプカテゴリー、9 のカテゴリーが生成された。子どもは、入院後の転籍前には、【みんなが通う、暇だから行く場所】、【学校があると知り行きたいと思った場所】と認識していた。転籍後には、学童期以降の子どもとしての日常の連続性が維持される【学校生活を継続する場】と意味づけていた。教室は【学習に集中できる場】や、【友達と出会い、楽しく笑い合う場】 であり、そこで【先生や友達と色々な活動に取り組める場】に参加することで身体的苦痛が緩和するほどに【気持ちを切り替えられる場】として意味をもっていた。また、【体調に合わせて調整しながら行く場】であると、子どもがセルフケア能力を身につける場としても機能していた。

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© 2020 一般社団法人 日本育療学会
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